大阪生まれ福岡在住の筆者が、自由にボートゲームのあれやこれやを書き連ねるブログです。
ボドゲが活発な福岡から楽しいことも難しいことも発信します。

【レビュー・紹介】アーグラ【インストが真の戦いです・・・】

どもども、ユーヤです。

ボードゲームはヨーロッパがテーマに挙げられやすい」というのは以前書いたかと思いますが、実は「インド」もピンポイントで題材にされている国だったりします。

世界的にも歴史があり、文化・文明の起こりもある、宗教や対外国との関連も深い、おまけにカレーはおいしい…。デザイナー側からしても注目できる要素が多く、扱いのでしょうね。

とゆーわけで、今回は扱いやすいインドをテーマにした、めっちゃ扱いにくいゲーム『アーグラ』のご紹介!

◆アーグラ (プレイ時間:2.5~3時間  プレイ人数:2~4人)
【ルール概要・システム紹介】

① ボード上のワーカーコマを横倒しにして、瞑想ポイント(MP)を獲得。獲得したMPで瞑想アクションを任意の組み合わせで実行する(任意)

② 手元のワーカーコマ1つをメインボード上のアクションスペースに配置して、対応するアクションを実行する。

③ ギルドもしくはムガル大帝へ、規定数の商品を納品する(任意)

④ ①~③を各プレイヤー順に繰り返し、3つあるゲーム終了条件のうちどれかが満たされたら同じ数手番を行ってゲーム終了。

⑤ 終了時のボーナスなどを計算して、最も所持金の多い人の勝利!

昔のインドが舞台。当時の王様(アクバル大帝)が誕生日なので各地から著名人がお祝いに来ている最中。プレイヤーはその近くの土地を収める地主になり、アグバル大帝と著名人たちにパイプを作り、お金を稼いで時代の有力者になろう!…というお話だ。

システムとしては割とシンプルな「ワーカープレイスメント」と「リソースマネジメント」。アクションを通じて得たものを、別のアクションで変換・消費してお金やボーナスに変えていくという、特別珍しくもない内容だ。それなのに、インストに1.5時間ほど時間が必要になってしまうという扱いづらさである。

理由は簡単で、「フリーアクションや任意でできるフェイズが多数あり、それらも含めて1つのアクションが他プレイヤー全体に影響を与え続ける」というゲーム設計によるところだろう。

綺麗なボードには棘…もとい悩ましさと複雑さがある

例えは、任意で出来るアクションの一つに「瞑想フェイズ」がある。
メインボード上の自分の立っているワーカーを横倒しにすることで瞑想ポイント(MP)が発生し、MPを消費して色々なボーナスアクションをできるというフェイズだ。「メインアクションよりは弱いが、痒い所に手が届く」といった感じでゲーム中お世話になるだろう。

このアクションだが、ボード上のワーカーは後から入ってきた他プレイヤーのワーカーに追い出されることがあるため、自手番直前まで何体倒せるかが定まらない(=獲得できるMP量が分からない)。加えて、「直前のアクションフェイズで使われた瞑想アクション使用できない」という制限があり、どの瞑想アクションが出来るかも直前まで定まらない。アクション自体も5種類あるので、どれをどのように使うかで悩むことになる…とまぁこんな様子だ。

素材の加工も面倒な要素がある。「誰かが加工をしたとき、同じ資源を持っていたら他のプレイヤーも1つまで加工アクションを行える。された側は好意ポイント(フリーアクションに使えるリソース)を獲得する」という点だ。する側される側の両方にリターンがあり、上手く盤面を整えることで自分の利を大きくしたいところだが、自分の番直前までボード情勢は動き続けるので、良くも悪くも予想外な状態から再考させられることが多発する。

出来た加工品はギルドや大帝に納品。これには思わずアクバルもニッコリ

フリーアクションも「どれを消費してどのフリーアクションが出来る」が分かれており、上記のせいで、思わぬ形でリソースが出たりするもんだから、「フリーアクションも使えるようになったから、もっと上手くできるのでは…?」とか考えだすと、あっという間に5時間とかプレイする羽目になる。

深く長いインドの歴史よろしく、我々にも深い思考と長いプレイ時間(あと長いインスト)を強いてくる、プレイヤーの耐性を試してくるようなボードゲームだ。

【自分語り】
「テーマとイラストが良い重ゲだなぁ…」ぐらいの気持ちでヤフオクを見ていて、3000円と安値だったのもあり購入。ちょうど福岡でボドゲを一緒に遊んでくれる人が増えてきた矢先だったのでTwitterで流したら、「え…アーグラに手ぇ出したの…」「それのインストは2度としたくない」「説明に疲れて間に軽ゲ挟んだ」と、やべー事例と意見しか出てこなくて戦々恐々とした記憶。

実際重い腰を上げて発プレイに臨んだところ、13時開始19時終わりとかいう結果に。
「諸兄らの意見は正しかったなぁ…」とか考えながら燃え尽きた記憶が合ったり無かったりだ。

とにかくインストがしにくい。個人的に説明書はむしろ分かりやすい書き方してくれてるぐらいに感じたが、とにかく「何かするごとに何かに紐づいて参照・影響・制限」というシーンが多く、説明側の脳内整理が大変である。(つまり説明を聞く側の脳内整理はもっと大変なのだ…。)

ただ、プレイ感自体は割とストレートな「ワーカープレイスメント」「リソースマネジメント」なので、2周もすれば全員慣れてくる様子はうかがえる。それでも見る部分・考える部分が多すぎるのでプレイ中は頭が煮えるのだが…。

個人的に面白いゲームと感じているので、食わず嫌いはしてほしくない。見た目は好みだし、資源として「カレー」があり、専用のフリーアクションまで用意されている点とか、すごく遊び心にあふれてて素敵である。コンディション万全・1日時間が取れる・カレーが好きなボードゲーマーたちは、是非チャレンジしてみてほしい。

高度過ぎる程アイコン化された個人ボード。もはや説明なしでは何が何かわからない…

【終わりに】
カレーを煮ながら頭も煮える、(ルールが)骨太なゲームのご紹介でした!
やった日の晩御飯にはカレーをどうぞ。