大阪生まれ福岡在住の筆者が、自由にボートゲームのあれやこれやを書き連ねるブログです。
ボドゲが活発な福岡から楽しいことも難しいことも発信します。

【レビュー・紹介】ヘブン&エール【うまいビールの秘訣はおじさんトーク?】

どもども、ユーヤです。

筆者の中でボードゲーム、特に中・重量級のゲームについては、「何やっても点数にはなるから、その中でより効率よく高得点を狙おう」というゲームと、「意図して得点行動しないと全く点が入らないから、段階立てて計画しよう」というゲームに大別できると考えています。

前者はコンボ色が強く、「Aだけだと10点しか入らないけど、A・B・Cを組み合わせて使ったら50点入る」みたいな思考が、後者は「ゲーム中盤までにAとCをしっかり準備して、後半からはBのアクションでAとCを得点に変換していって…」みたいな、進行度合いに合わせた計画の要素が強いイメージですね。

筆者はどちらも好きですが、後者の方が「計画通り…(ニチャァ)」みたいなことが出来るので若干好みだったりします。

とゆーことで、今回は計画的点数行動がカギを握るビール造りゲーム『ヘブン&エール』をご紹介!

f:id:cousi33:20220418113430j:plain

◆ヘブン&エール(プレイ時間:90分  プレイ人数:1~4人)

【ルール概要・システム紹介】

① メインボード外周にある自分の駒を、今ある場所より前のマスに移動させてる。

② 止まったマスに応じて以下のアクションを行う。行ったら次のプレイヤーへ。
・タイルのあるマス:個人ボードに配置。場所とタイルの種類に応じたお金を払う。
・ディスクのあるマス:マスに書かれた制限の元、個人ボードにディスクを配置。対応するボーナスを獲得する。
・茶色のマス:メインボード中央から、条件を満たしたボーナスタイルを獲得する。

③ ①と②を繰り返し、全員がスタートマスに戻ってきたら1ラウンド終了。

④ ③を規定数ラウンド繰り返してゲーム終了。個人ボード上で各パラメータートラックをルールに則り平均化する。平均化終了後、所定の点数計算方式で勝利点を確認。その他の得点と合算して最も得点の高い人の勝利!

修道院の院長になり、最高のビールを作っていくゲーム。一見関係なさそうで、修道院とビール(広くは「お酒」)は歴史的にも密接な関係がある。日本にも「酒は百薬の長」なんて言葉があるが、昔の海外では「高栄養」「薬草入り」「安全な飲料」と、嗜好品以外の側面が強く、道教者として人々を救うための1アイテムだった様子。

ゲームとしては…何と言ったらいいのやら。「変則的なワーカープレイスメント」とでも結えばいいのだろうか?ボードの端を1周する形で書かれたアクションスペースを、今より前に好きなだけ進んでは、止まった場所をアクションをしていく。

「後退できない」というのがミソで、早く進み過ぎると他の人がおいしい思いをする(残ったアクションを全部さらっていく)だけでなく、自分のできるアクション数も少なくなっていってしまう。ちんたら進めばほしいアクションをとられてしまう…と、分かりやすく悩める要素だろう。

f:id:cousi33:20220418113257j:plain
自由に進めるのに不自由なすごろく・・・といった感じ。

できるアクション内容はいたってシンプルで、「土地に置くタイルをもらう」「ボーナスディスクをもらう」「ボーナスタイルをもらう」の3択。このシンプルさで、得点渋々のゲームに仕上げている。

土地に置くタイルは、「原材料(麦、水、ホップ等)」or「おじさん(修道士)」の2タイプ、また置ける土地も「日陰」「日向」の2タイプが存在。「どこに置くか」によって得られるものが変わり、「日陰」ならお金、「日向」なら自身のビールのパラメータといった具合だ。

タイルは1~5の価値が各種類に存在し、高い価値ほどリターンが大きくなる。
で、当然コストも重くなる。日陰はタイルの価値分、日向はその2倍のお金が配置コストとして求められるが、このゲームお金が全然手に入らない。資金繰りはいつもぎりぎりで、余裕が出るころにはゲームが終わってしまうといったバランスだ。

ちなみにおじさんタイルは自分の周辺タイルを活性化して、タイルのボーナスを発生させてくれる超重要タイル。おじさんがおじさんを活性化することもでき、その際はこれまた重要な「修道院パラメーター」を上昇させる。点数計算時のキーパラメーターで、筆者は勝手に「知識レベル」とか言ってる(おじさん同士がしゃべって知識共有→パラメーターがアップ…的な。)

f:id:cousi33:20220418113310j:plain
おじさんタイルはビールの要。散らすも固めるもプレイヤー次第。

ディスク獲得は完全にボーナスマスで、コスト無しに土地に置かれたタイル恩恵を獲得できる。「じゃあ取り得では?」と言われるとそうとも言い切れない。なぜなら数種類あるボーナスは「ゲーム中1回のみ」かつ「ディスク獲得後すぐに適応しないといけない」からである。自信のボードが育つほどボーナスは大きくなるので、適度に待ちたいのだ。
でも手持ち資金も、他プレイヤーの動向もそれを許さず…どこまで我慢するかはプレイヤー次第だ。

諸々苦労してできた渾身のビールを持っていざ点数計算へ。
ビールには「水」「麦」「木」などの色々なパラメーターがあるが、点数計算時にはそれをプレイヤー毎にバラバラのレートを用いて平均化する。このレートを決めるのが「修道院パラメーター」。これが進んでいるほど、「1:1」もしくはそれに近い平均化レートで、各原料のパラメーターを均していくことが出来る。
修道院パラメーター」が低いと「5:1」とかいう激悪レートでの平均化を余儀なくされることも…おじさんたちには積極的におしゃべりしてもらおう。

やりたいこと・目指したいものに対して、とにかく手数と物が足りないというのが、このゲーム全体の特徴になるだろう。ギリギリの資金繰りとアクション数、ライバルの存在に戦々恐々しつつ、どうにかこうにか至高の1杯を作り上げていくのだ。

f:id:cousi33:20220418113322j:plain
「足りないものが多すぎる」をやりくりしながら極上のビールを目指そう!

【自分語り】
最初に遊んだのはお気にのボドゲカフェ。
友人におすすめされてやってみたところ、激渋のリソース管理に変則的な得点方式、好みのテーマにシンプルなシステムと、とにかく自分に刺さるポイントが多くて楽しかったのを良く覚えている。

その後もちょくちょく遊んでいて、「これは自分で持ってても絶対に腐らない!」と思い、ついに購入。なお、購入直前に一緒に遊んだ友人も、その1日後にポチっていたので、布教活動にも成功していた模様。

以前にも書いたかもだが「ハゲが強いゲームは良いゲーム論」にこのゲームも引っかかってくる。ハゲおじさんタイル(ハゲ以外もいるが)を上手く使うと一気に得点が跳ね上がるので、このゲーム中だけはハゲに足向けて寝られない。

かなり厳しい管理が求められるうえに、「初回プレイが10点未満」なんてのも起こりえるので、正直好みは分かれる印象。しかし、中~重量級にやり慣れている人には、この厳しさ・シンプルさ・得点が伸びた時の達成感はすごく刺さるんじゃないだろうか?
筆者が手に入れれたので、タイミング合う方は是非チャレンジだ(ダイマ

f:id:cousi33:20220418113303j:plain
見事に埋まり切った畑。これには思わずおじさんもニッコリ。

【終わりに】
計画性とおじさんを武器に美味しいビールを作るゲームのご紹介でした!
ビールを飲みながら遊ぶにはなかなかに難しいので、遊んでからのアフターでビールは楽しんでください!