大阪生まれ福岡在住の筆者が、自由にボートゲームのあれやこれやを書き連ねるブログです。
ボドゲが活発な福岡から楽しいことも難しいことも発信します。

【レビュー・紹介】トリカーリオン【IT'S SHOW TIME!!】

どもども、ユーヤです。

皆さん、アメリカズ・ゴッド・タレント」という番組はご存じでしょうか?
世界全土から募集された一般人が、審査員数名の前でパフォーマンスを行い、オーディションを進めていき、時代のスターを発掘する番組です。

パフォーマンスの内容は歌・ダンス・スゴ技・手品など、多岐に渡ります。
芸人のゴンゾーさんなんかは、自慢の「タンバリン芸」でオーディションに参加して、ちゃっかり1次審査通過までしたりしています。

結構長く続いている番組で、時代は流れど見たものを沸かすパフォーマンスは、幾万の価値があるというのを思い知らされますね。

とゆーことで、今回は世界一のマジシャンを目指してパフォーマンスを披露するゲーム『トリカーリオン』のご紹介です!

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◆トリカーリオン(プレイ時間:120分~  プレイ人数:2~4人)

【ルール説明・システム紹介】

① 自分の各ワーカーコマ(マジシャンコマ・スペシャリストコマ・助手コマ)に、アクション予定カードを割り当てて、このラウンドどのアクションスペースに配置するかを、相手に見えないように決定する。

② ①の内容を一斉に公開して、手番順にワーカーコマを1体ずつアクションスぺースに置き、アクションを実行する。(「ワーカー1つをこのラウンド置かない」を選択して、ソフトパスをしてもよい)

③ 全員が②を完了したら、公演アクションを選択したプレイヤーはどの公演を行うかを選択。行われた公演に関連するプレイヤー全員がボーナスを獲得。その後、ラウンド終了時の処理を行う。

⑤ ①~③を規定数ラウンド繰り返してゲーム終了。終了時ボーナス点を獲得して、最も名声点が高い人の勝利。

マジシャンが集まる街で凄腕マジシャンとして名を馳せるべく、資材や助手を集めマジックを開発し、大舞台で披露していく。最も秀でたマジシャンには、あらゆるマジックを大成功に導くパワーストーン「トリカーリオン」が送られる。

このゲームもアートワークが美麗で、細かく書き込まれた町のデザインが最高。
淡い色使いも相まって、まるで絵画をそのままボードにしたような感じに。
箱絵は全く派手ではないので、開封した際の華やかさがより際立つ印象だ。

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淡いタッチで美しく描かれた街並みと舞台

ゲーム自体は「アクションプロット(どのアクションをするか示すものを、事前に配置しておく)+ワーカープレイスメント」といったところだろうか。「どれをどのアクションに回すか」を事前に決める必要があるので、かなりシビアな計画性・リスクヘッジを要求される。
と書いたものの、実際プレイするとシビア程度じゃすまないレベルの計画性が必要になってくる。原因はこのゲームの根幹である「トリックカード」の仕様と、ゲーム全体のリソースの重さだ。

まずはトリックカード。トリックの傾向に合わせて4種類、フレーバー的に分かれているが、完全にユニークで1度獲得されると絶対に他の人は獲得できない。
そこまでなら、他ゲームでも見られる「キツめの早撮り要素」ぐらいに思える。ただこれがリソースの重さと掛け合わさると、非常に響く要素になる。

このゲームのリソース、特にトリックカードに関連するものは「資材」と呼ばれる。
破材や布、ハトに鎖、鏡など、手品に使う材料を集めていくことになるが、これらの道具を集める方法が、「ワーカーを使って欲しい資材を市場に発注する→ラウンドが終わって資材市場が発注内容に沿って入れ替わる→入れ替わった後に、再度ワーカーを使って市場から購入するアクションを行う」と、普通に買うと1ラウンド跨がないと購入が出来ない。

全部で7ラウンド、トリックカードは基本3枚まで確保できるので、必要な資材がバラバラのトリックを確保すると、単純計算3ラウンドは市場発注が必要になり、大きなロスになってしまう。

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アクションのプロットは毎回緊張。被らないことを祈れ。
アクションを決める瞬間はいつもドキドキ。

そこで役立つのが、各プレイヤーに1冊配られる「トリックカード一覧表」。
ゲーム中使用できるすべてのトリックカードが記載されており、必要資材も確認できるようになっている。それぞれのプレイヤーは最初の1枚をゲーム開始時に決める際、「今回はどのトリックを使ってゲームを進めようか?」と、ゲームスタート時にゲーム終盤までの構成を計画することになるのだ。

で、改めて問題となる「トリックカードはオールユニーク」「リソースは全体通して重め」の2点。早い話が、だれかと方針がかぶってしまうと、無茶苦茶な労力を消費して方向転換を余儀なくされてしまう設計になっている。
特に高レベル(名声点36点以上から獲得可能)トリックカードは、公演時のボーナスが強く、おまけにゲーム終了時の追加得点も発生させてくれる、いわば方針の要になるようなもの。当然必要資材も非常に重く、ここが先取りされてしまうと方針転換は困難極める道となる。

マジックの公演が曜日ごとに区切られているのも特徴。
木曜日~日曜日に公演が行われるが、どこで公演をするかの決定は早い者勝ち。
木曜日に行われた公演は、観客が少ないのか報酬にマイナス補正が入り、日曜日は休日ということもあり、多数の観客に恵まれボーナスが発生する。エンターテイナーたるもの、より多くの人に見てもらうのは重要なポイントのようだ。

魅力を挙げだすときりがなく、システムの紹介はこの辺にとどめるが、ダイスによる運、ゴールまで見通した計画性、早撮り要素に手数の有利、利益の最大化にユニーク効果と、とにかく多くの要素でプレイヤーを悩ませ楽しませてくれるナイスゲームだ。

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舞台での公演はこのゲームの肝。入念に計画・準備して臨もう

【自分語り】
パートナーのマイベストゲーム。
フリマで売られていたところ、テーマとアートに一目ぼれして即購入だそうだ。(なお、自分も目を付けていたが、同じ出展者から『横濱紳商伝』を購入していたので断念…)

ゲームとしてもすごく面白く、やるたびに別方向に悩みが増えては、どーにかこーにか公演までこぎつけていく感じ。超重量級なので遊ぶ人を選ぶ作品にはなるが、そういう界隈の人にはもっと広く楽しまれていてもいいようなゲーム。

なお過去数回プレイしているが、拡張なしショートゲームで2.5時間、拡張なしロングゲームで4時間、拡張ありロングゲームで6.5時間程と、遊んだ中では断トツでプレイ時間が長いゲームでもある。
これにまだ拡張が増えてくるのだから、困ったものだ(歓喜

【終わりに】
華やかでシビアなマジシャンたちの世界を垣間見るゲームのご紹介でした!
割れるほどの拍手を目指して、IT'S SHOW TIME!!